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扶養義務とは?順番と範囲は親と子供で違う?離婚後の扶養義務の請求はどうやるの?

扶養義務の順番と範囲

  • 扶養義務の順番とか範囲がよく分からない…
  • 離婚後に扶養義務って請求できるの?

その疑問、記事を読めば5分で解決します。

あや

 

親と子供といった一定範囲の親族にはお互いを扶養する義務があります。

たとえ虐待をするような毒親でも、パラサイトが慢性化した息子でも、扶養義務を果たさなければならないケースがあります。

 

この記事では、扶養義務について解説します。

こんな人におすすめ
  • 扶養義務の範囲と順番が知りたい人
  • 離婚後に扶養を請求したい人

 

扶養義務とは

扶養義務とは

扶養義務とは、経済的に自立できていない一定範囲内の親族を支援するという義務です。

  • 扶養してもらえる人:扶養権利者
  • 扶養しないといけない人:扶養義務者

 

法律上、扶養権利者は扶養義務者に対して扶養を求めることができます。

経済的な扶養が原則です。

 

でも、扶養義務者が、それまでの関係性や経済的な事情、他の義務者との関係などを考慮して面倒見的扶養を望んだり承諾することもあります。

この場合、介護や同居などの扶養を行うことも認められます。

 

扶養義務は互いに負う

扶養義務は、一定範囲内の親族がお互いに負担し合うことになっています。

例えば、親と子供、兄と妹は互いに相手を扶養する義務があります。

どちらか一方が生活に困窮した場合、もう一方が扶養しなければなりません。

 

扶養義務者の範囲

扶養義務者の範囲は民法に規定されています。

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

引用:民法第877条

民法第877条に規定されているのは、「直系血族」、「兄弟姉妹」、「三親等内の親族」です。

 

法律上の用語 具体的な関係
直系血族 子、親、祖父母、総祖父母、孫、曾孫など
兄弟姉妹 全血(父母の両方が同じきょうだい)か半血(父母の一方が同じきょうだい)かは問わない
三親等内の親族 ・叔父・叔母、伯父・伯母、甥、姪、それらの配偶者など

・「特別の事情」と「家庭裁判所の審判」が要件

・扶養義務者である直系血族、兄弟姉妹、配偶者に経済力がないなど特別な場合のみ

 

配偶者の間にも扶養義務は発生します。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

引用:民法第752条

 

民法第752条は、配偶者間の同居・協力・扶助義務を定めていて、このうち扶助義務が扶養義務に相当します。

 

生活保持義務と生活扶助義務

扶養義務は、義務の程度の差によって生活保持義務と生活扶助義務の2つに分類されます。

義務の種類 説明
生活保持義務 ・自分と同じ程度の生活水準を扶養義務者が送れるように扶養する義務

・自分の生活を犠牲にしてでも支援

生活扶助義務 ・社会的な地位や資力(収入や財産など)にふさわしい生活を維持し、なお余力がある場合に、余力の範囲で経済的に困窮した親族を扶養する義務

・自分の生活を犠牲にしない範囲で支援

 

扶養義務を対象別に分類すると「直系血族」、「兄弟姉妹」、「三親等内の親族」、「配偶者」となります。

この3つ、義務の程度が異なります。

義務の種類 対象
生活保持義務 配偶者間の扶養義務、親の子に対する扶養義務
生活扶助義務 直系血族(親の子に対する扶養義務を除く)、兄弟姉妹、三親等内の親族間の扶養義務

 

扶養義務の順番(順位)

直系(親子など)の親族は、傍系(きょうだい)の親族に優先して扶養義務を負います。

直系の親族間では親などの関係が近い人がまず扶養義務を負い、いない場合に祖父母などの遠い人が負担します。

 

普通養子縁組をしていると、養親がまず扶養義務を負います。

でも、養親が経済的に苦しく実親が経済的に裕福な場合は、後者が負担することもあります。

 

扶養義務と生まれた順番

「長男だから親を扶養しなければならない。」と、生まれた順番で扶養義務の順序が決まると思われがちです。

でも誤解です。

扶養義務者になる順序と生まれた順番は無関係です。

 

同じ親から生まれたきょうだいは、同じ順位で親に対する扶養義務があります。

 

扶養義務と生活保護

「扶養義務者がいるから生活保護は受給できない」というのもよくある誤解です。

 

生活保護法の考え方は、「扶養などによる援助が得られる場合は、それらを先に頼る」というものです。

でも、扶養の有無は生活保護受給の要件ではありません。

扶養義務者がいても扶養してもらえない事情があれば、生活保護を受けることができます。

 

扶養義務者による経済的な援助の内容が保護基準額に満たない場合も、生活保護を受けることができます。

つまり、扶養義務者が扶養義務を果たしても扶養権利者が生活の困窮から抜け出せない場合、生活保護を受けることができるのです。

 

現実には「扶養義務者がいるなら頼れ」などと強要されるケースが多く、問題視されています。

あや

 

扶養義務の放棄

どのような事情があっても、扶養義務を放棄することはできません。

 

扶養を請求する方法(扶養請求調停・審判)

扶養請求の方法

扶養を請求するにはまず、扶養してほしい人(扶養権利者)が扶養する人(扶養義務者)にお願いします。

  • 失職して生活に困った親が子どもに扶養を求める
  • 離婚時に母親に引き取られた子供が、生活に困って父親に扶養を求める

 

後者の場合、母親から父親に対して養育費を請求するケースが多くなっています

あや

 

でも、「親族を支援する余力がないかどうか」は、扶養権利者と扶養義務者の間の考えが異なることが多いです。

そのため、扶養の方法や金額、支払いの方法などの話し合いがまとまらないことは珍しくありません。

そもそも話し合いができない場合もあります。

 

こうした事情が起こることを考慮し、家庭裁判所に扶養請求調停または審判を申し立てる仕組みが整備されています。

扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。

引用:民法第878条

 

扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

引用:民法第879条

 

調停手続きから始まる

扶養請求事件は別表第2事件(調停も審判もできる事件の類型)なので、調停と審判のどちらを先に申し立ててもOKです。

でも、別表第2というのは「第1次的には当事者間の話し合いで解決すべき」事件です。

調停をせずに審判を申し立てると、家庭裁判所が職権で調停に付す(付調停)ことがほとんどです。

 

そのためまずは調停を申し立てて、話し合いがまとまらない場合に審判移行するのが一般的な流れになっています。

 

申立人(申立権者)

  • 扶養を要する人(扶養権利者)
  • 扶養義務者

 

申立先(管轄の家庭裁判所)

「相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所」が申立先です。

 

必要書類

必要書類
  • 申立書:原本とコピー各1通
  • 申立事情説明書:原本とコピー各1通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 申立人と相手方の戸籍謄本(全部事項証明書):発行後3ヶ月以内のものを1通
  • 収入に関する書類:源泉徴収票のコピー、給与明細のコピー、確定申告書のコピー、非課税証明書など申立人の収入が確認できる書類を2通
  • 扶養料の支払いに関する取り決めや支払い状況に関する資料:審判書き、調停長所、判決書、振込依頼書などのコピーを2通

【扶養義務者が、別の扶養義務者を相手方とする場合】

  • 扶養義務者の戸籍謄本(全部事項証明書):発行後3ヶ月以内のものを1通

 

調停は申立書に沿って進むので、自分用に申立書をコピーしておくと、内容を確認できるので安心です。

あや

 

申立ての段階で取得できない戸籍謄本があるときは、申立て後に追加で提出することも認められています。

必要書類のうち、相手方に知られたくなくて、家庭裁判所に知らせる必要もない情報が記載された部分については、マスキングして提出します。

 

マスキングができない場合、「非開示の希望に関する申出書」に必要事項を記入し、申立書と一緒に提出してください。

申し出が認められるかどうかは裁判官の判断で、認められると相手方が非開示部分を閲覧・コピーできなくなります。

でも、稀にですが非開示希望の申し出が認められないことがあります。

その場合、非開示を希望した部分についても相手方が閲覧・コピーできてしまいます。

 

申立てにかかる費用

費用
  • 収入印紙:扶養を要する人一人につき1200円分
  • 郵便切手:各家庭裁判所が指定している金額と枚数

 

扶養請求調停の進行

扶養請求の調停を申し立てた後の流れは次のとおりです。

STEP.1
申立てが受理される
管轄の裁判所が申立てを受理
STEP.2
期日が指定される
家庭裁判所が担当裁判官と調停委員を決めて第1回期日を指定
STEP.3
調停期日通知書を受け取る
調停期日通知書が申立人と相手方に郵送される
STEP.4
第1回期日
指定された日時に家庭裁判所へ行って調停に参加する

 

調停期日は、家庭裁判所が開庁している平日の日中に指定され、1期日にかかる時間は2~3時間程度です。

期日に出頭できるようであれば調停の準備を、支障があれば担当裁判所書記官に期日変更を求める電話をします。

あや

 

 

調停期日の当日は、申立人と相手方がそれぞれ別の待合室で待機し、交互に調停室へ入って調停委員に主張や意見を伝えます。

調停委員は、中立の立場で双方の話を聞きます。

扶養請求調停では次のような事情を聴かれます。

  • 扶養を必要とする事情
  • 扶養義務者の経済状況や生活状況
  • 扶養権利者の考えや経済状況

 

調停委員は、調停委員会の構成メンバーである裁判官と進行を協議し、手続きについて裁判所書記官に確認しながら調停を進めます。

調停終了時刻になっても合意ができない場合、話し合いを続ければ合意する余地があれば次回期日を指定します。

合意の余地がなければ不成立または取り下げで手続きが終了します。

 

「調停委員ってどんな人?」と思ったら、次の記事を読んでみてください。

裁判所の職員ではなかったり、持っている能力が違ったりして、個人的にはなかなか衝撃的でした。

調停委員とは?家事調停委員の報酬や定年は?なるには応募や資格が必要?

 

審判移行

話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合、審判の手続きに自動的に切り替わります。

審判では、裁判官が申立人と相手方の話を聴取し、判断に必要な資料を提出させます。

そして、一切の事情を考慮して扶養請求を認めるかどうか、扶養料の金額や支払い方法などを判断します。

 

家庭裁判所が考慮する一切の事情には、離婚後に元夫(父親)が養育費を支払わなかったことや、絶縁状態にあったことなども考慮されます。

審判結果に不服があれば抗告できますが、審判結果が通知されてから2週間が経過すると審判が確定します。

 

扶養義務のまとめ

扶養義務は、父母が離婚した場合や子供が養子縁組をしたときに、誰が子供を養うかの根拠となります。

父母が離婚しても親子間の扶養義務は消滅せず、子供と離れて暮らす親は扶養義務に基づいて養育費を支払う必要があります。

 

子供が養子縁組をした場合は、第一義的には養親が扶養義務を負うことになります。

でも、養親の経済的困窮などの事情があれば再び実親が扶養義務を果たさなければなりません。

子供がいる夫婦が離婚・再婚するときは扶養義務が問題になることが多いので、基本的な内容は押さえておきましょう。