- 「親の離婚は子供にどんなストレスを与えるの?」
- 「子供の気持ちのケアってどうやればいいの?」
その疑問、記事を読めば5分で解消します。
あや
離婚を決めた後、「子供の気持ち」や「離婚後の子供の生活」を考えたことはありますか。
親の離婚によって誰よりも深い傷を負うのは、離婚という親の身勝手に巻き込まれた子供です。
- 離れ離れになった親と十分に会うことができない
- 転居や転校を余儀なくされる
- 生活水準も下がる
こうした環境の変化によって、子供は親が想像している以上に深刻な影響を受けます。
離婚すると決めたらまずは子供に及ぼす影響を知り、子供の気持ちに配慮した接し方をすることが大切です。
- 離婚が子供に与える影響(ストレス)が気になる
- 親の離婚に苦しむ子供への寄り添い方を知りたい
離婚が子供に与える影響(ストレス)
親の離婚が子供に及ぼす影響は、生活の変化から心や行動の変化まで様々です。
いずれも子供に強いストレスを与えて小さな心をむしばみます。
生活の変化によるストレス
親が離婚すると子供の生活は一変します。
親の一方と離ればなれになる
多くの離婚家庭において、離婚後は子供と親の一方が離れて暮らします。
児童虐待など特殊なケースを除き、子供はパパもママも大好きで一緒に生活したいと思っています。
一緒に過ごす時間が長いママとの関係性が濃くなりがちですが、パパのことも頼りにして一緒にいたいというのが子供心です。
でも親が離婚すると、子供は親の一方と強制的に引き離されます。
父母がまともに話もできないほど険悪なまま離婚すると、離れた親と会うこともできません。
その結果、親の一方と疎遠になるケースも珍しくありません。
子供は、父母の両方から愛情を受けて大切にされる経験をすることで健全に育ちます。
でも、親が離婚した子供は、そんな当たり前の経験すら奪われて強いストレスを抱えます。
転居や転校
日本では、離婚後に母親が子供を連れて家を出るケースが多くなっています。
実家に戻ったり他の地域へ転居した場合、子供は転居や転校をして住み慣れた環境を離れなければなりません。
親の一方と離れ離れになり、さらに住み慣れた地域や学校からも引き離されるのです。
仲の良い友達や可愛がってくれたご近所さんと会えなくなります。
また、心に傷を抱えたまま新天地で新しい人間関係を築かなければならず、そのストレスは計り知れません。
生活水準の低下
母子家庭の貧困が社会問題になっていますが、離婚によって子供の生活水準が低下するケースも少なくありません。
父母が共働きだった場合や、専業主婦だった人が子供を引き取った場合、生活水準の低下は避けられません。
今まで当たり前にできていたことができなくなるということは、子供に大きなストレスを与えます。
見捨てられ不安によるストレス
見捨てられ不安とは、親きょうだいなど親密な人から「見捨てられるかもしれない」という不安を抱くことです。
親が離婚した子供は、片親と引き離されて会えなくなると「見捨てられた」と思います。
たとえ、離婚後に面会交流(離れて暮らす親子が会うこと)ができていても、見捨てられ不安は残ります。
また、同居する親との関係が悪くなると、「同居する親からも見捨てられるのではないか」という不安を感じます。
親が子供を見捨てるなんて現実にはほとんどありません。
でも、親の離婚を経験した子供は、非現実的な不安に囚われて強いストレスを感じ続けます。
自己肯定感の低下によるストレス
自己肯定感とは、「自分は大切な存在である」とか「他人から大切に思われている」という自分に対する肯定的な感覚のことです。
自己肯定感は親から愛情を受けることで育まれ、他人への接し方や行動に大きな影響を与えます。
自己肯定感の高い子供と低い子供の特徴をまとめました。
自己肯定感が高い | 自己肯定感が低い |
・失敗を恐れずなんにでもチャレンジする
・失敗しても諦めず再チャレンジする ・他人を信じて頼ることができる ・他人と良い関係を築ける |
・周囲の目を気にしてチャレンジを割ける
・失敗すると諦めて自分のカラに閉じこもる ・他人への不信感が強く頼れない ・他人と良い関係が築けない |
離婚によって片親と離れ離れになった子供は、「親に見捨てられた=自分は価値のない存在なんだ」と思い込んで自己肯定感を低下させます。
周囲からフォローされても「ウソばっかり」とネガティブに受け取り、より自分のカラに閉じこもります。
自己肯定感が低め、強いストレスを抱えたまま。
他人への不信感によるストレス
自己肯定感が低下すると周囲に不信感を抱くようになります。
親への不信感はもちろん、友達や周囲の親しい人も信じられなくなって孤立します。
表面上は離婚前と変わらないように見えても、誰も信じられず耐え難い孤独感にさらされた状態です。
「他人からバカにされている」、「疎まれている」といった被害的な受け止めをして不安定になる子供もいます。
精神的なトラブル
アメリカの有名な学者は、親の離婚を経験した子供が精神的トラブルを抱える確率について、次のとおり言及しています。
「治療を要する精神的なトラブルを抱える子供の確率は、両親がそろっている家庭の子供は約10%であるのに対し、両親が離婚した家庭の子供は25%である。」
引用:Hetherington’s groundbreaking work shows how families cope with divorce|E. Mavis Hetherington
彼女の研究結果によると、精神的トラブルを抱える確率が、両親がいる家庭で育った子供の2.5倍も高くなるのです。
子供が精神疾患を抱える原因には、虐待、いじめ、被災、戦争、その他の恐怖体験などがありますが、親の離婚はそれらと同レベルのショックを子供に与えるのです。
幼い子供ほど親の重要度が高く、親が離婚すると「自分の半身を切り捨てられたような」気持ちになります。
幸せの絶頂から絶望のどん底に突き落とされる経験をするわけです。
片親引き離し症候群、片親疎外
用語 | 説明 |
片親引き離し症候群 | 子供と同居する親が、別居する親の悪口を吹き込んで子供を洗脳し、子供が別居する親を拒否している状態 |
片親阻害 | 同居する親の影響で、理由がないのに子供が別居する親との交流を拒否している状態 |
片親引き離し症候群や片親疎外は、離婚後に離れて暮らす親子の関係を壊します。
成長して洗脳されていたことを自覚すると、同居する親との関係性が悪くなります。
その結果、父母の両方との関係が悪化して孤独感を強める子供が少なくありません。
学業成績の低下
親の離婚は、子供の学業成績にも影響を与えることがあります。
親の離婚によるストレスで気持ちが落ち込み、注意力や集中力も低下して勉強にも身が入らなくなるのです。
反社会的行動や非社会的行動
小学校の高学年くらいになると、子供は親の離婚を正しく理解して自分の意見を言葉で表現できるようになります。
そのため、離婚に反対したり、離婚後に一緒に住む親を自分で選んだり、転居や転校を拒否したりします。
一方で、親に面と向かって意見を言えず、複雑な気持ちを抱えたままになる子供も珍しくありません。
そうした子供は、小さい心で大きなストレスを抱えきれなくなり、不適切な方法で解消を図るようになります。
例えば、反社会的行動や非社会的行動は、離婚家庭の子供によく見られます。
- 反社会的行動:犯罪(暴力、盗みなど)や問題行動(夜遊び、不良交友、援助交際など)を繰り返す
- 非社会的行動:社会とのつながりを絶つ(不登校、引きこもりなど)
過熟現象
過熟現象とは、子供が年齢以上の役割を果たそうと無理をしている状態です。
離婚によって同居する親が落ち込んでいると、子供は「自分が何とかしないと」と思うようになります。
そして、自分のストレスを我慢して親を気づかい、家事やきょうだいの世話を始めます。
家族を支えるために背伸びをしているのです。
過熟が続くと「腐敗」、つまり子供の心と体に限界がきて不安定になります。
将来への影響
親の離婚を経験した子供は、夫婦が円満な家庭を築くイメージを持ちにくくなります。
そのため、結婚したときに夫または妻の役割をうまくこなせず、離婚するケースが後を絶ちません。
また、学業不振や家庭のサポート不足の影響で、成人後の社会的地位が低くなることを指摘する研究結果もあります。
項目 | 説明 |
未婚の母 | 離婚、未婚、再婚家庭で育った女性が未婚の母になる確率
→両親がいる家庭で育った女性の約3倍 |
失業率、貧困 | 親の離婚を経験した子供の失業率や経済的困窮率
→両親がいる家庭で育った子供より高くなる |
犯罪 | ひとり親家庭で育った子供が30代初めまでに実刑を受ける確率
→両親がいる家庭で育った子供の約2倍 |
参考:「独身者は損をしている」|アメリカ価値研究所(nstitute for American Values)編
身体反応
小学校低学年頃までの子供は、離婚を頭で理解することはできません。
しかし、親の感情や家庭内の雰囲気から異変を敏感に察知して不安になります。
そして、精神的なストレスを抱えきれなくなると、夜泣き、発疹、発熱、嘔吐といった身体反応で表現します。
- 親から離れなくなる
- 何でも親にやってもらおうとする
- 父と母を一緒に行動させようとする
- 一切甘えなくなる
これらの行動を見せる子供も少なくありません。
親の離婚による子供のストレスを減らす方法
離婚が子供に与える影響(ストレス)を完全になくすことは不可能です。
でも、父母の関わり方次第で、子供が受ける悪影響を最小限に抑えることはできます。
子供が離婚を理解できる場合:離婚することを伝える
子供が離婚を理解できる年齢なら、親が離婚することを伝えます。
夫婦そろって説明する
子供に対する離婚することの説明は、できる限り父母が一緒にしましょう。
父母の一方から説明されると、子供は「本当だろうか。(父母のもう一方は)どんな気持ちなんだろう」と思います。
父母が一緒に説明すれば、ショックを受けながらも子供なりに親の気持ちと直面し、親の離婚と向き合うきっかけになります。
DVやモラハラなどで父母の同席が難しいなら、父母の一方が説明した後で、もう一方から話をする機会を設けましょう。
嘘やごまかしを言わない
子供は、親が思っているよりずっと嘘やごまかしに敏感です。
また、説明したときには信じても、何かのきっかけで事実を知ると親に強い不信感を抱きます。
その結果、親子関係の悪化や非行などの問題が発生することもあります。
離婚という親の身勝手に巻き込む以上、説明する責任はしっかりと果たしましょう。
黙っていると親子関係がぎくしゃくしますし親自身も疲れるので、早めに説明した方が親にとっても良いです。
あや
子供は悪くないことを伝える
子供は、年齢が低いほど親の離婚を自分のせいだと思い込みます。
親から離婚を伝えられると、「自分のせいだ」と思って落ち込んだり、過剰に良い子を演じたりする子供は少なくありません。
親としては、「離婚は親の都合で、悪いのは親である」と話し、子供は何も悪くないとはっきり伝えましょう。
そのうえで、子供の気持ちや意見をしっかり聞いて可能な限り尊重してあげてください。
離婚する相手の悪口を言わない
子供にとっては父も母も大切な親です。
離婚する夫のことを悪く言うと、子供は自分の悪口を言われたかのように傷つきます。
思春期前後の子供なら、「自分のことを棚上げして」とあなたに反感を抱きます。
子供の前で夫の悪口は言うことは控え、子供の年齢や発達に応じた分かりやすい言葉で離婚することを伝えましょう。
離れて暮らす親に会えることを伝える(面会交流を確保する)
繰り返しですが、子供にとっては父も母も大切な親です。
離婚した後も離れて暮らす親との交流を継続することが、離婚からの立ち直りや成長に良い影響を与えます。
一方で、離婚後に離れて暮らす親との交流が途絶えると、子供は見捨てられたと思って傷つきます。
親が離婚しても、親子の交流は継続できるようにしてあげましょう。
また、「パパとママは一緒に暮らせないけど、2人ともあなたのことが大好きだし、パパとも会えるよ」と伝えてあげることも大切です。
注意したいのが、「いつでも自由に会えるよ」というフレーズを子供に使うかどうかです。
父母間で「子供の希望どおりに面会交流する」という合意がであれば、使っても問題はありません。
でも、夫婦間で面会交流の合意がないときに「自由に会えるよ」と子供に伝えると、実現できず子供を傷つけるおそれがあります。
子供が幼い場合:注意深く様子を観察しながら対応する
子供が幼く離婚を理解できないなら、離婚について直接伝えることはしません。
幼い子供は、夫婦や家庭の雰囲気をビビッと察知して体調を崩しやすいので、小さな変化を見逃さないようにしましょう。
保育園・幼稚園・学校にも事情を伝え、子供に異変があれば連絡してもらうよう伝えておきます。
子供に異常が見られたら一人で悩まず、家族、保育士、小児科医などに相談しながら慎重に対応します。
何歳から離婚について子供に話す?
言葉が話せない乳児期のうちは、理解できないので話す必要はありません。
でも、幼児期以降の子供なら、離婚という言葉の意味は分からなくても感覚的に理解します。
そのため、幼児の年齢や発達でも分かる言葉を選んで伝えてあげましょう。
4~5歳くらいになると、何となく分かるようになります。
あや
環境の変化は最小限にする
環境の変化は、子供の心に大きな影響を及ぼします。
家庭内が混乱して不安定な時期に環境まで激変すると、子供は変化について行けず混乱します。
そのため、子供と同居する親は、できるだけ離婚前と変わらない環境を整えてあげることが大切です。
離婚によって転居や転校をする家庭は少なくありません。
その場合は、校区外通園(通学)や休日に地元に帰って友人と遊ばせてあげるなどの配慮はしてあげましょう。
子供の発達段階を意識する
子供に離婚を伝えるときは、発達段階を意識することも大切です。
発達心理学では人の発達に段階を設定します。
そして、発達段階ごとに課題があり、前向きにクリアすることで健全に成長するとされています。
子供が発達課題をどのように乗り越えるかは、親の関わり方や接し方が大きく影響します。
親が不適切な対応をすると、子供の将来に悪影響を及ぼすリスクがあるのです。
そのため、子供の発達段階や課題を知り、子供の発達に応じて話し方を考えることが大切になります。
物では子供の心は癒せない
「親が離婚してツラいだろうから、せめて欲しいものは買い与えてやろう」
こう思うパパやママ、実はとても多いです。
あや
でも、物では子供の心は癒せません。
幼い子供なら、新しいおもちゃに興味を持つでしょう。
それでも、親の一方がいなくなった寂しさを埋めることはできません。
親の離婚で傷ついた子供の心は、人とのかかわりの中でしか癒せません。
同居する親が子供の世話をして悩みを聞くのはもちろん必要です。
でもそれだけではなく、別居する親も面会交流を重ねて「子供を大切に思っている」という姿勢を見せなければなりません。
面会交流に拒否的な人も多いですが、虐待などの特殊な事情がない限り子供には必要なことです。
ママの前では「パパに会いたくない」と言っていても、心の中ではパパとの関わりを求めているのが子供です。
親として子供の本音を汲み取った対応をしてあげましょう。
まとめ
親の離婚が子供に与える影響(ストレス)は、親が想像する以上に大きいものです。
- 母の不和に責任を感じる
- 環境の変化に戸惑う
- 周囲の目に悩む
こうしたことを親の離婚に直面した子供の多くが感じています。
ストレスが溜まって重い精神疾患を発症し、人生を台無しにする子供もいます。
離婚で争っていると、自分のことで精いっぱいになって子供の気持ちや不調に気づきにくい傾向があります。
親の離婚争いに巻き込まれた子供は、サポートを得られないまま思い悩み、環境の変化に戸惑い、強いストレスを抱えます。
親が気付いた時には手遅れということも珍しくありません。
離婚は非常にエネルギーを使うので、余裕がなくなることはやむを得ません。
でも、親の離婚に子供は何の責任もありません。
とばっちりを受けているだけです。
離婚が子供に与える影響を知り、適切にケアしてあげてください。
簡単なことではありません。
でも、子供を癒すことができるのは親だけです。