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清算条項の効力の範囲と例外!文例は離婚協議書・公正証書と調停調書で違う?

清算条項の効力の範囲と例外

  • 離婚協議書(公正証書)に清算条項を入れた方が良いって聞くけど、どう書けば良いの?
  • 調停調書には勝手に書かれてるもの?

 

その疑問、記事を読めば5分で解消します

あや

 

離婚協議書(離婚公正証書)や調停調書に「清算条項」という文章を入れることがあります。

養育費や財産分与といったお金の話と比べると目立たない条項なので、「聞いたことないな…」という人もいるかもしれません。

離婚調停では、調停の成立前に「清算条項を入れておくことで良いですか。」などと確認されるだけで、何となくOKする人も多いものです。

 

でも実は、離婚後に財産分与や慰謝料を請求できるかどうかを決める重要な条項で、決めておかないと離婚後に後悔することがあります。

 

こんな人におすすめ
  • 離婚後にお金のことで元夫と争いたくない人
  • 清算条項のことを詳しく知りたい人
  • 清算条項の書き方を知りたい人

 

清算条項とは

清算条項の効力の範囲と例外

清算条項とは、離婚後に元夫婦の争いが再発するのを防ぐために決めておく条項です。

 

離婚調停では、清算条項を入れて調停が成立すると、「夫婦がお互いに相手の債務を免除することに合意した」とみなされます。

つまり、お互いに相手に金銭的な請求をする権利を放棄したことになります。

 

夫婦が離婚によって婚姻関係を解消するときは、財産分与や慰謝料を請求する権利が発生します。

家庭裁判所の離婚調停では、離婚することと一緒に財産分与なども協議して夫婦の合意形成を目指します。

そして夫婦が合意した内容で調停条項を作り、清算条項を入れて、離婚に伴う法律的な紛争は全て解決したことにして調停を成立させます。

 

調停成立までの道のりでは、離婚の早期解決のために当初の主張を譲歩したり、やむなく主張を取り下げたりすることもあります。

でも、そうしたわだかまりも全て含めて解決したことにするのです。

 

法律的な紛争を残したまま調停を成立させると、離婚した後に再び争いが起こるリスクがあるからです。

 

例えば、離婚を急いで慰謝料の請求を行わなかった夫が、離婚後に慰謝料を請求してくることがあり得ます。

清算条項を入れておけば、こうした離婚後の紛争を防げます。

そのため、多くの調停調書に清算条項が入れられています。

 

協議離婚の場合も、同じ理由で離婚協議書に清算条項を入れるのが一般的です。

 

清算条項の効力の範囲

調停条項や離婚協議書に清算条項を入れると、離婚した後に財産分与や慰謝料を請求する手続きができなくなります。

例えば、財産分与の調停や審判を申し立てても、家庭裁判所は清算条項を理由に請求を認めません。

個人間で任意に請求することは可能ですが、相手が拒否すればそれまでです。

 

清算条項の文例

清算条項の効力の範囲と例外

調停調書や離婚協議書に書き加える清算条項の文例について確認していきます。

 

離婚調停の調停調書の清算条項

離婚調停の調停調書に記載する清算条項の文例は、次のとおりです。

調停調書の清算条項
  • 当事者双方は、本件離婚に関する紛争は一切解決したものとし、今後は相互に名義のいかんを問わず何ら金銭その他の請求をしないことを確認する。
  • 当事者双方は、本件について、本件調停条項に定めるものの他、何らの債権債務のないことを相互に確認する。
  • 当事者双方は、本件に関し、本調停条項に定めるほか、何らの債権債務のないことを相互に確認し、今後、名義のいかんを問わず、互いに金銭その他一切の請求をしない。

 

清算条項の文言は、調停調書が作成された時期や地域などで多少の違いはあります。

でも、「何らの債権債務のないことを確認する」という文言は同じです。

 

通常、清算条項は調停条項の最後の項目として記載されます。

あや

 

離婚協議書を公正証書で作成する場合の清算条項

協議離婚するときに作成する離婚協議書(離婚公正証書)でも、清算条項を記載するケースが増えています。

離婚協議書(離婚公正証書)の清算条項の文例は、次のとおりです。

離婚協議書の清算条項
  • 夫と妻は、本協議書に定めるほか、他に何らの債権債務のないことを相互に確認する。
  • 夫と妻は、本件離婚に関しては以上の内容をもって解決したものとし、今後は財産分与、慰謝料などの名目の如何を問わず、互いに何らの請求をしないこととする

 

通常は、調停調書と同じく「何らの債権債務のないことを確認」するという文言を入れます。

でも、記載されていない離婚協議書も散見されます。

 

これは、作成する人の専門性の差です。

調停調書は裁判官や裁判所書記官といった法律のプロが作成するので、ほぼ100%正しい内容が記載されます。

一方の離婚協議書は夫婦自身や行政書士が作成するので、重要な文言が抜けてしまうことがあるのです。

 

清算条項だと分かる内容なら、多少の文言の違いは許容してもらえます。

あや

 

清算条項のメリットとデメリット

清算条項の効力の範囲と例外

清算条項は離婚後の争いを防げる大事な条項ですが、ケースによってはデメリットもあります。

 

清算条項のメリット

清算条項のメリットは、離婚した後にお金の争いが起こらないようにできることです。

 

夫婦で激しく争ってお互いに不満を残して離婚したとしても、清算条項を入れておけば、少なくとも家庭裁判所の手続で財産分与や慰謝料を請求されなくなります。

 

清算条項のデメリット

清算条項のデメリットは、慰謝料や財産分与の請求権がなくなることです。

元夫婦で慰謝料や財産分与の話し合いをして、相手が支払いに応じれはお金が得られます。

でも、家庭裁判所の手続きで請求することはできません。

 

つまり、離婚後に慰謝料などを請求したい人にとっては、清算条項を入れることがデメリットになるのです。

 

離婚後の請求を考えるなら「清算条項を入れない」または「範囲を限定する」

清算条項の効力の範囲と例外

離婚した後に慰謝料や財産分与を請求したい場合、清算条項の取り扱いは2つあります。

  • 清算条項を調停条項に入れない
  • 清算条項を入れ、離婚後に行使した請求権を除外する旨を記載する

 

確実なのは清算条項を入れないことです。

でも、希望しない請求権まで離婚後に残ってしまいます。

 

特定の請求権を除外したい場合は、事前に調停委員(離婚公正証書の場合は公証人)に相談して文言を検討してもらいましょう。

 

調停委員に要注意

離婚調停で注意したいのは、「清算条項は調停条項に当然に入れるもの」だと思い込んでいる調停委員が一定数いることです。

こうした調停委員が担当になると、調停の中で清算条項の話をされず、当然に記載する前提になっていることがあります。

ヒドイ場合、調停の中で清算条項について一切触れられなかったのに、調停調書に勝手に清算条項が記載されていることもあります。

 

清算条項を入れるかどうかは夫婦にとって重要なことです。

調停成立前に必ず話題にし、調停条項に清算条項を入れたくない場合ははっきりと調停委員に伝えましょう。

 

調停委員の対応に苦情を言いたいときは、下の記事を読んでみてください。

直に言うんじゃなく、裁判所という組織に伝えるのがポイントです。

 

調停委員への苦情や変更(忌避)の申し出はできる?離婚調停だと書記官に言うの?

 

清算条項の効力の範囲の例外

清算条項の効力の範囲と例外

清算条項は、離婚後の紛争を防ぐためのものですが、離婚に伴う請求全ての範囲にまで効力が及ぶわけではありません。

 

清算条項と養育費

養育費は、親の子どもに対する扶養義務に基づく「子どもの生活にかかる費用」です。

父母が請求しないことで合意するのは相当ではなく、清算条項の効力は及びません。

つまり、養育費を取り決めず、清算条項を入れて離婚したとしても、離婚後に養育費を請求することができます。

 

また、調停成立後に元夫婦の一方または両方の経済状況などに事情の変更がある場合、調停で取り決めた養育費の増額や減額を請求することも認められています。

事件名 事情変更の内容
養育費(増額) ・義務者の収入や資産が増加した

・権利者の収入や資産が減少した

・子どもの治療費や教育費が増加した

養育費(減額) ・義務者の再婚

・子どもと権利者の再婚相手の養子縁組

・義務者の収入や資産が減少した

・権利者の収入や資産が増加した

・生活費の上昇

 

清算条項と年金分割

年金分割の請求権は、元夫ではなく厚生労働大臣などに対する請求権(公法上の請求権)です。

慰謝料や財産分与の請求権(司法上の請求権)とは違い、放棄することは認められていません。

 

そのため、調停調書や離婚公正証書に清算条項を入れて離婚しても、年金分割の請求権は放棄されません。

離婚後に年金分割の調停または審判の申立てをすれば受理されます。

 

年金分割を請求しない約束

「年金分割を請求しない」という約束をしたい場合、年金分割の調停・審判の申立てをしないという内容を条項にする方法があります。

年金分割の請求権を放棄したことにはなりません。

でも、夫婦間で調停・審判を申し立てる権利を行使しない約束をしているので、約束を破って申立てが行われた場合は約束違反を理由として損害賠償を請求できます。

 

ただし、家庭裁判所の調停や審判で取り扱われるのは合意分割のみです。

3号分割は請求により当然に分割されるので、年金分割の調停や審判をしない約束をしても請求を制止する効力はありません。

 

清算条項のまとめ

清算条項は、離婚後に元夫とお金の問題で争わないために入れておく条項です。

離婚後に慰謝料や財産分与を請求する予定がない場合は、調停調書や離婚公正証書に加えてもらいましょう。

一方で、慰謝料などを請求する予定がある場合、清算条項を入れると離婚後に請求できなくなるので要注意です。

 

清算条項を入れないか、行使したい請求権を除外する書き方をしてもらいましょう。