- 養子縁組届ってどう書くの?
その疑問、記事を読めば5分で解決します。
あや
養子縁組をするときは「養子縁組届」を作って市区町村役場へ提出する必要があります。
でも、養子縁組届って日常的に見かける書類ではないので、書き方や用紙の入手方法などが分からず困る人が多いです。
そこでこの記事では、養子縁組届の書き方について記入例を踏まえて解説します。
- 養子縁組届の書き方が分からず困っている人
養子縁組届の用紙の入手方法(窓口またはダウンロード)
養子縁組届の入手方法は2つ。
- 市区町村役場の窓口で交付してもらう
- 役場のウェブサイトからダウンロードする
市区町村役場の窓口で交付してもらう
市区町村役場へ行き、直に養子縁組届を交付してもらいます。
役場の戸籍担当課(名称は地域によって異なる)で「養子縁組届をください」と言えば、すぐもらえます。
ダウンロードして入手する
養子縁組届の様式をウェブサイト上に掲載している役場もあります。
札幌市役所の様式が使いやすいので、リンクを貼っておきます。
ダウンロードして入手する方法は役場へ行く必要がなく便利ですが、注意すべきことが3つあります。
注意点 | 理由 |
役場名などの印字のない用紙をダウンロード | 役場名などが印字済みの用紙が掲載されていることがある
(札幌市の用紙は印字なし) |
A3でダウンロード | 養子縁組届はA3サイズで作成しなければならない
(A4サイズでは受理されない) ※A4でダウンロードしてA3に拡大することも可能 |
記入例もダウンロードする | 書き方が分かりにくい項目あり |
養子縁組届の用紙は全国で使える
養子縁組届の用紙は、市区町村役場によって文言や色などが異なります。
そのため、「居住地域の養子縁組届しか使用できない」と思われがちです。
でも、養子縁組届の様式は法令に基づいて作成されているので、全国どこの役場が作成した用紙を使用しても届出ができます。
例えば、大阪府堺市役所で入手した養子縁組届を滋賀県大津市役所で提出しても、記載事項や添付書類に不備不足がなければ受理されます。
養子縁組届の書き方(記入例)
養子縁組届の書き方について、記入例を踏まえて解説していきます。
養子縁組届の記入例(再婚時、未成年の配偶者の嫡出子と養子縁組をする場合)
滋賀県東近江市の記入例が分かりやすいので、参考に掲載しておきます。
出典:養子縁組届の記入例|東近江市
配偶者の嫡出子を養子とする(連れ子と再婚相手を養子縁組させる)場合について、記載項目ごとに解説していきます。
提出日欄
養子縁組の届出を行う年月日を記入します。
事前に記入しても問題ありませんが、予定が変更になる可能性があるときは届出当日に役場で記入するのが無難です。
宛先
養子縁組届は、養親または養子となる人の本籍地または所在地を管轄する市区町村役場に提出します。
宛先は届出先の役場の長です。
養子縁組届には「〇〇〇〇長殿」と印字されているので、「〇〇〇〇」部分に届出先の役場名を記入します。
例:大阪府堺市長殿
マーカー部分のみ記入
養子となる人
養子縁組届の左側は、養子となる人と届出人に関する事項を記入します。
まずは養子となる人の欄です。
氏名(よみかた)、生年月日欄
氏名(よみかた)と生年月日(和暦)は、養子となる人の性別によって記入欄が違います。
- 男性の場合:左側の「養子」欄
- 女性の場合:右側の「養女」欄
養子と養女の印字を見逃して、養子となる人が女性なのに養子の欄(左側)に記入してしまうケースが多いです。
注意しましょう。
あや
住所欄(住民登録をしているところ)
届出時点における住所と世帯主の氏名を記入します。
本籍(外国人のときは国籍)
養子となる人の縁組前(届出の時点における)の本籍と筆頭者の氏名を記入します。
養子となる人が外国人の場合は、国籍のみ記入してください。
父母の氏名、父母との続き柄
養子となる人の実の父母の氏名を記入します。
届出時点で父母が結婚している場合は、母の氏は記入しません。
父母の氏が異なる場合は、届出時点の父母の氏を記入してください。
続き柄欄には長男や二女など、父母から見た続き柄を記入します。
入籍する戸籍または新しい本籍
まず、養子縁組後の戸籍について次の4つから当てはまるものにチェックします。
- 養親の現在の戸籍に入る
- 養親の新しい戸籍に入る
- 養子夫婦で新しい戸籍を作る
- 養子の戸籍に変動がない
その後、養子となる人の養子縁組後の本籍と戸籍筆頭者の氏名を記入します。
監護をすべき者の有無
この欄は、養子になる人が15歳未満の場合のみ記入します。
「届出人以外に養子となる人の監護をすべき□父□母□養父□養母がいる」か「上記の者はいない」にチェックをつけましょう。
- 養子となる人が15歳未満であるとき
- 法定代理人以外に養子となる人の父母でその監護をすべき者があるとき
この2つに当てはまる場合、養子縁組をするのに監護親の同意が必要です。
届出人署名押印
届出人が署名押印します。
養子となる人が15歳以上の場合、養子本人が届出人なので自ら署名押印することになります。
届出人
届出人欄は、養子となる人が15歳未満の場合のみ記入します。
資格
養子となる人との関係について、親権者(□父□母□養父□養母)未成年後見人、特別代理人から当てはまるものにチェックをつけます。
住所
届出人の住所を記入します。
本籍
届出人の本籍と筆頭者の氏名を記入します。
署名押印、生年月日
届出人の署名押印をし、生年月日を記入します。
養子となる人が15歳未満であれば、法定代理人が代わりに養子縁組届を提出します。
実父母が離婚している場合、父母のうち親権者が届出人となります。
連絡先
日中に連絡がつく届出人の連絡先(電話番号)を記入し、連絡先の種別を「自宅」、「勤務先」、「呼出し〇〇方」から選択します。
欄外
記入した内容に不備があった場合に備え、届出人の捨印を押しておきます。
養親になる人
養子縁組届の右側には、養親となる人と証人に関する事項を記入します。
まずは養親になる人です。
氏名(よみかた)、生年月日欄
養親となる人が男性の場合は左側の「養父」欄、女性の場合は右側の「養母」欄に氏名(よみかた)と生年月日(和暦)を記入します。
夫婦がともに養子縁組する場合は、養父と養母の欄にそれぞれ記入してください。
住所欄(住民登録をしているところ)
養子となる人の欄と同じく、届出時点における住所と世帯主の氏名を記入します。
本籍(外国人のときは国籍)
養親となる人の本籍と筆頭者の氏名を記入します。
養親となる人が外国人の場合は国籍のみ記入することになります。
その他
子供の父親(または母親)と離婚した後に再婚し、再婚相手と子供が養子縁組する場合は次のとおり記入します。
- 配偶者の嫡出子を養子とする縁組である。
- 「養子となる人〇〇〇〇と養親となる人〇〇〇〇の養子縁組に同意する。 養親となる人の妻(または夫)〇〇〇〇 押印」
また、配偶者の子供(嫡出子)と養子縁組する場合、配偶者の同意が必要となります。
配偶者が配偶者が養子縁組に同意していることを書き、養親となる人との続柄と氏名を記入して署名押印します。
届出人署名押印
届出人が署名押印します。
欄外
養親となる人の欄の記入事項に不備があった場合に備え、養親となる人の捨印を押しておきます。
証人
養子縁組の届出には、証人2人が必要事項を記入する必要があります。
20歳以上で、養子縁組の事実を知る人であれば、養子や養親と血縁がなくても問題なく、外国籍の知人友人でも証人になることができます。
署名押印、生年月日
証人2人の署名押印と生年月日を記入します。
住所
証人2人の住所を記入します。
本籍
証人2人の本籍を記入します。
欄外
証人の捨印を押印しておきます。
養子縁組届の記入例(成人を養子にする「婿養子」の場合)
未成年ではなく成人を養子にする(婿養子)場合の記入例です。
婿養子の場合、婚姻と養子縁組の順序には3種類あります。
婿養子のパターン | 手続き |
養子縁組→婚姻 | 養子縁組届を提出・受理された後に婚姻届を提出・受理 |
養子縁組+婚姻(同時) | 養子縁組届と婚姻届を同時に提出・受理 |
婚姻→養子縁組 | 婚姻届を提出・受理された後に養子縁組届を提出・受理 |
「養子縁組→婚姻」と「養子縁組+婚姻(同時)」の場合の記入例は、次のとおりです。
出典:養子縁組届の記入例|東近江市
「婚姻→養子縁組」の場合は記入方法が少し異なるので、窓口で確認するようにしてください。
養子縁組届の記入例(筆頭者のみが養子となる場合)
結婚している人(戸籍の筆頭者)が、自分だけ養子になる場合の記入例です。
出典:養子縁組届の記入例|東近江市
他のケースと異なるのは2つ。
- 「その他」欄に「配偶者が養子縁組に同意する旨の記載」が必要
- 「配偶者の署名押印」が必要
配偶者の同意については、別紙を作成して添付しても問題はありません。
養子縁組届の提出方法(養子縁組の届出)
養子縁組届は、市区町村役場に提出します。
届出人(提出者)
養親及び養子となる人です。
養子となる人が15歳未満の場合、縁組の承諾をした法定代理人が届出を行います。
法定代理人とは、親権者や未成年後見人などです。
養子となる人の年齢 | 届出人 |
15歳以上 | ・養子になる人が「届出人 署名押印」欄に記入
・「届出人」欄は空欄にしておく |
15歳未満 | ・養子になる人の法定代理人が「届出人」欄に記入
・「届出人 署名押印欄」は空欄 |
届出人欄は、養親となる人が男性の場合は左側の欄に、女性の場合は右側の欄に必要事項を記入します。
届出先
養親または養子となる人の本籍地(戸籍がある場所)または所在地(住民登録をしている場所)の市区町村役場です。
必要書類
養子縁組の届出には、以下の書類が必要になります。
- 養子縁組届:1通
- 養親及び養子となる人の戸籍謄本(全部事項証明書):1通(本籍地以外に届け出る場合)
- 届出人の印鑑:認印可
- 届出人の本人確認書類:運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど
【養子となる人が未成年者の場合】
- 家庭裁判所の養子縁組許可審判の審判書謄本
【養子となる人が被後見人、養親となる人が後見人の場合】
- 家庭裁判所の審判書謄本
【養子または養親となる人が婚姻している場合】
- 配偶者の同意書(配偶者が養子縁組しない場合)
届出にかかる費用
無料です。
養子縁組届の書き方の留意点
養子縁組届は、記入例を参考にすれば30分程度で作成できますが、いくつか留意点があります。
署名押印は養子及び養子となる人がする
養子縁組届は、養子及び養親となる人以外が代筆することができます。
例えば、家族が本人らの代わりに必要事項を記入しても、内容に不備がなければ問題ありません。
でも、署名押印は養子及び養親となる人が自らしなければなりません。
例外として、判断能力の低下や病気・ケガなどの影響で自ら署名押印することができないが考えられます。
こうした場合は他人に代筆してもらい、代筆となった事情を書面にして提出する必要があります。
養親及び養子となる人・届出人・証人が市区町村役場の窓口へ出向き、口頭で届け出ることも認められています。
いずれの方法でも、届出の時点で養子及び養親となる人に養子縁組をする意思「縁組意思」が必要です。
印鑑は認印でも良い
養子縁組届で使用する印鑑は、認印でも問題ありません。
ただし、シャチハタ(朱肉を使用しないスタンプタイプのもの)は使用できません。
婚姻届と同時提出する場合
子連れ再婚の場合、連れ子と再婚相手の養子縁組届と、再婚相手との婚姻届を同時に提出することができます。
養子縁組届と婚姻届のいずれにも不備不足がなかった場合、まず婚姻届が受理され、それから養子縁組が受理されます。
養子縁組届のまとめ
養子縁組届は、養子縁組をするときに必要な書類です。
記入例を参考にすれば個人でも作成できますが、養子の年齢や婚姻届と同時に提出するかどうかなどで書き方が異なります。
そのため、養子縁組をする状況に応じて正しい書き方をする必要があります。
基本的なパターンは書いてありますが、特殊な事情がある場合は役場の窓口に問い合わせてください。